第185章

桐生椿が言った。

「私みたいな小物があなたについてきたところで、身元を隠さなくたって目立ちようがないわ」

「こっちも同じ。変装はしてるし、上から新しい身分も用意されてる。そう簡単に尻尾は出さない」

九条蓮は任務をいくつもこなしてきたが、そんな初歩的なミスで自分を晒すような男じゃない。

桐生椿ならなおさら、こんな場面で不用意に穴を作るはずがなかった。

「私たちのせいじゃないなら、考えられるのは一つだけ」

椿が真顔で蓮を見る。

蓮も黙ってうなずいた。

このホテルで、近いうちに何か危険なことが起きる。

あの装置は自分たち二人を狙ったものではなく、宿泊客全体を対象にした監視――ある...

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