第19章

――あいつだ。

やっぱり、九条蓮。

まったく、因縁というのは狭いところでぶつかる。まさか彼まで、ここに現れるなんて。

桐生椿は目を細めた。九条蓮が「面白そうだから顔を出す」タイプじゃないことくらい、桐生家に戻ってから自分で調べている。得た情報は明確だった。帝都のどんな夜会にも、彼は滅多に姿を見せない。

椿は自惚れていない。桐生家の「椿様」が帰ってきた――その話題に釣られて、わざわざ祝福に来た。そんな甘い話があるはずもない。

理由はひとつ。

――疑われてる。

当然だ。フォックスがJ国に戻った時期と、彼女が桐生家に認知された時期。あまりに重なりすぎている。九条蓮ほどの警戒心なら、見...

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