第191章

桐生武治は辈分で言えば小島貴博より上のはずだった。だというのに、相手は一切の面子も立てず――平手打ちを叩き込んできた。

その一発は、桐生武治の頬だけを打ったのではない。桐生家という一族の顔面を、まとめて殴りつけたに等しい。

「いい度胸じゃないか。今どきの若造は、ここまで増長するのか?」

桐生宗一郎が怒りに任せて吐き捨てる。

「今すぐお前の祖父に電話してやる。小島家の躾ってのは、よその家に乗り込んで威張り散らすように教えるのか、聞いてやる!」

宗一郎は慌ただしく電話をかけ始めた。だが、そんなものが効くはずもない。

小島貴博は最初から喧嘩を売りに来ている。電話一本で引き下がるような男...

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