第194章

「そこまで大げさじゃないわ。この重金属が本当に使い物になるかも、まだ分からないし」

 桐生椿がこの土地を買おうとしているのは、自分のためではない。J国のためだ。

 相手がいま競売にかける気になっていて、こちらにも落札できるだけの力がある。なら一度買い取ってからJ国へ戻し、採掘は向こうに任せればいい。そうすればJ国の鉱業も潤う。悪くない話だ。

 もっとも、ウルフは椿の腹づもりを知らない。知ったら、しばらく胸が痛むほど悔しがるだろう。

 今夜のオークションに出る以上、椿は紅蓮会の主として顔を出す必要がある。

 幸い、彼女の化粧は一流だ。雰囲気を変えて参加するくらい、造作もない。

 ウ...

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