第200章

 売り手本人が書き残した「想定成約額」を、彼はツテを使って手に入れていた。あとは、その“実際の価格にいちばん近い数字”を書き込むだけ。これで誰にも負けるはずがない。

 ――今度こそ、胸を張って勝てる。

 小島貴博はスマホに表示された金額を確認した。予想どおりだ。彼は迷いなく、そこから1000だけズラした数字を予想用紙に書きつける。

 用紙は係員に回収され、封印された。

 他の参加者も同様だ。

 だが、桐生椿だけはさっきからずっとスマホで文字を打っている。誰かに連絡しているようにも見えた。

 係員が最後に彼女のところへ来た瞬間、椿はちょうどスマホをしまい、さらさらと数字を書いて差し...

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