第205章

桐生椿は通話を切るなり、さっさと外へ出た。

それを見た桐生家の面々は、椿が誰と会うのか気になって仕方ないらしい。ぞろぞろと後をつけ、塀の陰に身を寄せては門の脇からこっそり覗き込む。

もちろん椿は、その視線に気づいていた。――が、相手にしない。

門を出てすぐ、予想どおりの男がいた。車のドアに軽く寄りかかり、俯いたまま煙草を吸っている。背が高く、姿勢がよくて、やけに絵になる。

九条蓮は滅多に煙草を吸わない。なのに今夜は、指に挟んだ一本から煙を吐き出していた。

椿は一瞥しただけで、なぜだか気分が上向くのを感じた。

――男が煙草を吸うだけで、こんなに色気が出るものなのね

さっき、顎をわ...

ログインして続きを読む