第209章

だが、この男のものを狙っていいのは、誰にでも許されるわけじゃない。

九条蓮ですら手に入らないのなら――ほかの連中に資格があるはずもない。

「従弟、私たちだってお前のためを思って言っているのよ。談家と縁組できれば、九条家はあと五十年は安泰でしょう?」

「当主継承者のくせに、家のために身を切る覚悟もないの?」

「そんなの、不孝にもほどがあるわ!」

桐生椿は眉を上げた。

――道徳で縛ってきた、ってわけね。

九条大輔が間髪入れずに言う。

「九条蓮、幸の言うとおりだ。お前は継承者なんだ。背負うべき責任がある」

「談家は隠れ名家。お前と千賀は幼い頃から一緒に育った。妻にするなら、あの子...

ログインして続きを読む