第23章

話しているうちに、相手の声には泣きそうな震えが混じってきた。

桐生椿はため息まじりに言う。

「住所」

「来てくれるの? よかった……住所は――」

少年が住所を告げると、椿は通話を切り、そのまま外出の支度に入った。

ただ、桐生家の門限が頭をよぎる。余計な火種は避けたいし、時間もない。正面から出るわけにはいかず、彼女はいつもどおり塀を越えて向かうことにした。

「ねえあなた、さっき窓の外、何か飛んでいかなかった?」

桐生雪菜は化粧台の前でスキンケアをしながら、ふと窓の外に違和感を捉えた。

だが顔を上げたときには、何も見えない。

「最近、椿のことで寝不足なんじゃないか。気のせいだろ...

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