第25章

「佐伯誠、あんた……今回ばかりは本気でヤバいよ」

 人だかりが桐生椿のほうへ流れたせいか、藤崎弥生を見張っていた連中の手が緩んだ。弥生は拳を握りしめ、顔色を変えて言う。

「弥生、俺だってお前のためを思って――」

「相手は神谷司だよ? 世界レーサーランキングの順位、忘れたの? もう『遊びのレース』じゃ済まない」

「桐生椿がどれだけ速くても、神谷司より上ってことは――」

「……そこまで考えてなかった」

 佐伯誠の声が、ようやく震えた。

「アマがプロに挑むなんて、最初から勝負にならない。あいつら、実力を盾にして堂々と踏みにじってるだけ」

「じゃあ、どうする? 止めるか?」

「――...

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