第28章

「師匠、送っていきましょうか?」

物思いに沈んでいたところへ、佐伯誠が手にした鍵をチャラ、と揺らした。

それを見た他の連中も黙っていられない。次々と車のキーを取り出し、「俺が送る」「いや私が」と名乗りを上げる。

結局、押し切る形で前に出たのは藤崎弥生だった。

ところが桐生椿はぱちりと瞬きをして、

「いいよ。私、こっそり抜け出してきたの。送ってもらったら……罰、受けちゃうから」

あっけに取られて、全員が固まった。

「師匠、こっそりって……なんでですか?」

「桐生家って門限あるんだろ。桐生宗一郎が決めたって聞いたぞ」誰かが言う。

佐伯誠が目を丸くする。

「じゃあ師匠、あの厳重...

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