第46章

ただ、待っているだけでは――。

危険が訪れるより先に、桐生武治と桐生雪菜が彼女を探しに外へ出てきてしまった。

「おかしいな……あの子、どこまで散歩に行ったんだ。こんなに遅いのに戻らないし、姿も見えない……」

桐生椿の目が、すっと冷える。

その瞬間だった。

暗がりから、肉眼では捉えにくいほど細い針が一本――桐生雪菜の頸動脈めがけて飛んできた。

桐生椿は応急処置の針術に通じている。人体の急所の位置は、骨の髄まで叩き込んであった。

そして――この針を放った相手も、同じだ。

でなければ、狙い澄まして「死穴」を突けるはずがない。針が急所を貫き、さらに毒が塗られていれば、毒は血流に乗って...

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