第48章

黒瀬奈央は顔色を失い、弾かれたように立ち上がって叫んだ。

「子どもたち、子どもたち起きて! 今すぐ出るわ」

もう明日まで待てない。今日、この瞬間に逃げなければ。

「クソが……医者を呼べ! 頼む、医者だ!」

雇い兵が絶望の声を張り上げる。

だが、黒瀬奈央はすでに二人の子どもとボディガードを連れ、夜のうちに姿を消していた。

――

翌朝早く。

桐生椿が階下へ降りると、桐生夫妻が外から戻ってくるところだった。何やら小声で話し込んでいる。

「どうしたの、お父さん、お母さん」

椿が口を開くより先に、桐生美月が尋ねた。

「昨夜ね、別荘で盗難があったのよ。しかも外国人の犯行だって」

...

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