第53章

  ——

  その頃、桐生椿は腹が減ったので、ホテルのレストランへ食事に向かった。

  すると藤崎弥生たちが追いついてきて、「一緒に食べてから帰ろう」としつこく言い出す。

  エレベーターの中でも、話題は明後日の試合のことばかりだった。

「藤崎さん……もし高橋菜々の話が本当なら、月影と当たったらこっちが不利じゃないですか。今回、まさかあのクソみたいなスクールに負けたりしませんよね?」

  佐伯誠の声は、隠しきれない不安を含んでいた。

  彼が月影を「クソ」と呼ぶのも、ただの悪口ではない。月影は入学のハードルが低く、名門クラブで素行不良を理由に追い出された連中が、平然と流れ込む受け...

ログインして続きを読む