第57章

桐生椿は、誰かが自分のためにそこまで算段しているなど、知る由もなかった。

そして藤崎弥生は案の定、皆の期待を裏切らない。出場するなり立て続けに勝ちを重ね、棄権しない限り試合は続く。

十五戦目が終わったところで、藤崎弥生はようやく自分の体力が限界に達したと悟り、ここでいったん下がった。

「うそでしょ……十五試合も出て、全部勝ったの? 藤崎先輩、やっぱ化け物だわ!」

「マジで憧れの男……!」

「月影との差、あと5点だ! ここからなら逆転できる!」

会場の士気が一気に跳ね上がる。

現時点で、藤崎弥生は最も長く戦い抜いた選手だった。

――しかも、休憩が済めばまた出てくるつもりだなんて...

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