第60章

リースが床へ叩きつけられた瞬間、頑丈なはずの木床にまでピシリ、と亀裂が走った。

もう少し力が乗っていれば、人型の穴が空いていてもおかしくない。

桐生椿はつま先で着地し、そのまま美しい360度の回転。軽やかに両足を床へ据える。

対してリースは、初手で劣勢を悟ったのか、もう出し惜しみをやめた。

彼が得意とする――高速の連打に切り替える。

リースが「殺し」で取りこぼさない理由は、鋭い観察眼だけじゃない。

血のにじむ鍛錬で身につけた、あの速撃の拳だ。

「うそ……見て! 速すぎる! 拳が見えない!」

「残像出てるじゃん……やば……」

「桐生椿、これ負けるだろ!」

「負けろ負けろ! ...

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