第64章

桐生椿は無言のまま、瞳に冷たい光だけを宿していた。

【いい度胸じゃない、九条蓮。――私を表に引きずり出すつもりね】

……くそっ。

「ボス……シーホースを助け出さないと……」

「うちの班、もともと人数も多くない。今までだって、あなたが支えてきたんです。ここでシーホースを失ったら、絶対に揺らぎます」

「俺たちがやってるのは、国のための仕事です。でも名乗れない。どれだけ苦しくても、自分の腹に飲み込むしかない。どれだけ罵られても……それでも耐えるしかない」

「そこにシーホースまで何かあったら……」

――そのとおりだ。

桐生椿が怪盗として宝を奪うのは、私利私欲のためじゃない。

国外の...

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