第65章

「でも、あなたのフォックスとしての身元が一度でも割れたら……家族に居場所がなくなるどころか、上も庇いきれないはずよ」

桐生椿は携帯していた最高級の外傷薬を取り出し、シーホースの傷口をもう一度手早く処置した。

「安心して。誰にも気づかせない。――仮にバレたとしても構わないわ。向こうが私を認めないなら、私だって執着しない」

「だけど私にとって、あなたたちはいちばん大切な家族よ。誓ったでしょう。一生、家族でいるって」

「うん!」シーホースが力いっぱい頷く。

十数年の絆は、薄い水みたいなものじゃない。生死の任務をくぐるたび、何度も鍛え上げられてきたものだ。

桐生椿の情を疑うなんて――あま...

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