第72章

「人皮マスクみたいな技術を使わなくても、このメイクのほうが動きやすいなら……あっという間に別人になって追跡を振り切れますよね」

橋本敏之は、今にも試してみたそうに身を乗り出した。

桐生椿が言う。

「効果は同じじゃないわ。ひとつはその場しのぎの臨機応変。もうひとつは、長期で持たせるための“定着”」

人皮マスクは長期任務向き。対してこのメイク術は、単発の仕事に向いている。

終わったら脱いで消える。手早く、潔く、面倒を残さない。

「桐生さん、どうやってるんです? メイクだけで人種まで変わるなんて、さすがに無理でしょう」

桐生椿はペンシルを手に取った。

「発想が固いのよ。ほら、みんな...

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