第81章

佐野靖子は、今にも泣き出しそうな顔だった。

「……どうして、こんなことに……」

「はぁ……今どきの連中は何をするか分かりませんからね。警察の武器まで奪ったって話です。人質を取った理由も、こちらではまだ……」

もう平静ではいられない。佐野靖子はそのまま警官のもとへ駆け寄り、状況を問いただした。

「すみません! あの、弟が中1の12組なんですけど……12組で何かあったんですか?」

警官は気の毒そうに眉を寄せた。

「ご家族の方、落ち着いてください。こちらも人質の救出に全力を尽くしています」

その言葉で、佐野靖子の胸は底まで沈んだ。

最後の望みが、音を立てて崩れていく。

「入れてく...

ログインして続きを読む