第89章

ここには墓碑が一五九基ある。うち一二三人は、かつて彼女と同じ場所で育ち、同じ釜の飯を食った仲間だった。

国家情報局に入って特工になった当時、年齢はばらばらだった。けれど一緒に過ごすうち、関係は驚くほど良くなった。

ただ――あの頃の国は、まだ強くなかった。だから彼らは、危険な任務に次から次へと投入され続けた。

一三〇人いた隊は、任務を重ねるたびに削られていく。

そして今日。百人を超えていたはずの隊は、もう七人しか残っていない。

桐生椿は並ぶ墓碑を見つめ、言葉にできない痛みを胸の奥で噛みしめた。

忘れろ、だって?

そんなこと、できるはずがない。

ここにある過去は、彼女が一生手放せ...

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