第90章

桐生椿はその言葉を聞いた瞬間、身体がわずかに強張った。

ぼんやりとした視界の向こうに、かつての仲間たちが――まるで今もここにいるかのように、ふっと立ち上がってくる。

彼らは皆、安堵と誇りを滲ませた笑みを浮かべていた。まるで、こう言っているみたいに。

「ほらな、フォックス。俺たちは前から言ってただろ。生きてようが死んでようが、この道を選んだ時点で、もう誰にも忘れられないって」

「必ず、誰かが覚えていてくれる」

桐生椿の目尻が、かすかに光った。

その瞬間だけ、英雄という概念が輪郭を持って現実に降りてきた気がした。

桐生椿は不意に両脚を揃え、墓碑の列へ向けて最も正確で、最も力のこもっ...

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