第153章 彼は彼女の本当の姿を見た

昼近くになっても、田中野乃は藤崎隼人と連絡が取れずにいた。

藤崎隼人は一晩中藤崎家に戻らず、電話にも出ず、完全に失踪状態だった。

田中野乃はあちこち駆けずり回り、ついに篠原瑤がかつて住んでいたマンションの前で藤崎隼人の車を発見した。

急いで階段を駆け上がり、藤崎隼人が中にいることは分かっていたが、いくらドアを叩いても応答がない。そこで管理会社へ行き、スタッフに頼んで鍵を開けてもらった。

部屋に入ると、藤崎隼人がソファに丸くなり、篠原瑤が着ていた服を一枚、胸に固く抱きしめていた。意識はあるようだが、顔色は蒼白で、目は虚ろ、身じろぎ一つしない。まるで生きる屍のようだ。

こんな藤崎隼人を見...

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