第163章 とても愛している

「愛」

藤崎隼人は、力を込めてその一文字を口にした。

自分が篠原瑤を愛していると気づいたのは、彼女が血の海に倒れ、虫の息だった時だ。彼女の微かに冷たくなった体を抱きしめ、このまま失ってしまうかもしれない、永遠に目を覚まさないかもしれないと思った瞬間、彼は恐怖で全身が震えた。

これほどまでに恐ろしいと感じたことは、一度もなかった。

過去が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。その一コマ一コマすべてに篠原瑤の姿があり、彼は確信した。自分は篠原瑤を愛しているのだ、と。それも、深く、深く。

彼女を愛している。だからこそ、あの時離婚したくなかった。篠原詩織と自分たちを添わせようという話とは関係なく、彼...

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