第246章 彼女は本当に重要

久保湘子はもはや彼と無駄話をする気もなく、くるりと身を翻して背を向けた。

実のところ、彼女はまだ江藤惟のアプローチを受け入れてはいなかった。あんなことを言ったのは、ただ渋谷奕に諦めさせてさっさと出ていってほしかったからだ。

かつては全身全霊を彼に捧げ、生涯を共にできる男に出会えたと思っていた。だが結局、それは見当違いだったのだ。

渋谷奕は、彼女の良人ではなかった。

彼女は目を閉じた。胃が痛みすぎて、もう渋谷奕と言い争う気力もない。彼女はまた昔のように彼を無視することにした。彼がこの病室にどれだけいようと勝手にすればいい。関わりたくなかった。

「話しているんだ。聞こえないふりをするな。...

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