第280章 もう彼から離れたくない

彼女は桐生甜に目を向けたとたん、その目元が赤くなった。「藤崎隼人は? 彼はどうなの?」

藤崎隼人はもう死んでしまった、などという言葉を聞くのが彼女は怖かった。

「藤崎さんはもう危険な状態は脱したから、心配しないで」

「どこにいるの?」

「隣の病室よ」

「会いに行く」

桐生甜は一晩中眠っておらず、両目は真っ赤に充血していた。唐沢戦からの電話を受けるや否や駆けつけ、篠原瑤がベッドに突っ伏し、満身創痍であるのを見て、胸が締め付けられるようだった。

「彼はまだ目を覚ましてないの。目が覚めてからに……」

「会いに行く」

篠原瑤は彼女の言葉など耳に入らず、必死に起き上がり、ふらつきながら...

ログインして続きを読む