第321章 彼は待てない

「だったら、今すぐ会社に行きなさい。お父さんをランチに誘うのよ。あの子はあんたが海外で気晴らしをしてないことを知らないんだから。毎日家で泥酔してたなんて夢にも思ってないわ。お父さんの前でいいところを見せれば、自然と会社に入れてくれるはずよ」

金井虹子はそう言って、彼に知恵を貸した。

彼が一人の女のためにこれほど長く自堕落な生活を送っていなければ——そして海外へ気晴らしに行くと嘘をついていなければ、唐沢建蔵はとっくに彼に役職を用意していただろう。

これほどの好機を逃したのかと思うと、金井虹子は考えれば考えるほど腹が立ってきた。

「女は災いの元よ。これからは、あの篠原瑤とかいう女には近づか...

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