第322章 私を追い詰めるな

唐沢戦の瞼がぴくりと二度痙攣し、その端正な顔が、見る見るうちに険悪なものへと沈んでいった。

彼は得意満面な笑みを浮かべる唐沢霄を睨みつけ、激情を押し殺して問いかける。

「……何だと?」

「桐生甜の名は、とっくに俺の見合い相手リストに入っていたんだ。お前との関係があるから会うつもりはなかったが、彼女と文月家の御曹司との話が破談になれば、チャンスをやってやってもいい。唐沢家と桐生家なら家柄も釣り合っているし、跡取りである俺なら、当然桐生正も認めるだろう。厳密に言えば、俺の身分は文月智也より上だ。俺がその気になれば、桐生甜を手に入れるなど赤子の手を捻るようなものさ」

唐沢戦は拳を固く握り締め...

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