第332章 不純な目的

彼女たちは背を向けていたが、そのうちの一人の後ろ姿に瑤は見覚えがあった。声までもが、どこか聞き覚えがある。

「行くぞ。警察に任せておけ」

 藤崎隼人は瑤の手を引き、路肩に停めてある黒塗りのセダンへと歩き出した。

 篠原瑤をここまで送り届けてくれたのは、執事の権藤だった。彼が運転手を務めている。

 二人が近づいてくるのに気づくと、権藤は即座に車を降り、後部座席のドアを開けた。

 篠原瑤が車に乗り込んだ直後、女の驚いたような叫び声が響いた。

「隼人さん、あなたなの?」

 瑤の心臓がドクリと跳ねた。その声の主が三浦小夜だと気づいたからだ。

 いつの間にか振り返っていた女は、その両目で真っ直...

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