第333章 彼に決めた

彼女は考えれば考えるほど笑みがこぼれ、思わず鼻歌を口ずさんだ。

「藤崎隼人」が手に入らなくたって、それがどうしたというの。「篠原銘清」だって、彼に引けを取らない男だ。多少歳はいっているけれど、金はあるし、何よりあたしに優しい。

若い頃の「篠原銘清」は、さぞかしハンサムだったに違いない。今でさえ、彼は渋くて深みのある、いい男なのだから。

自分と「篠原銘清」が付き合っていると知った時の「篠原瑤」の顔——あの小さな顔が紙のように真っ白になる様を想像すると、たまらなくて「プッ」と吹き出してしまった。ああ、気分がいい。

車のドアを開け、限定もののバッグを手に取る。くびれた腰をくねらせながら玄関へ...

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