第352章 大人しく帰りを待つ

大倉俊は、しばらく何も答えなかった。

待ちくたびれた篠原詩織が、苛立ちを露わにする。

「結局、私に手を貸すの、貸さないの?」

「言ったはずだ。もう協力する気はないと」

「星野みさとに、あることないこと吹聴されてもいいわけ?」

突然、大倉俊が鼻で笑った。次の瞬間、その大きな手が伸びてきて彼女の胸倉を掴み、身体が宙に浮くほどに吊り上げる。

「そもそもお前が意図的に近づき、利用していたと知ったら、星野みさとはお前をどう思うだろうな?」

「あなた——」

彼女は、大倉俊が協力しないばかりか、逆に脅し返してくるとは思ってもみなかったようで、顔を真っ青にして言葉を詰まらせた。

「星野みさとに...

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