第362章 小娘に興味はない

渋谷奕は一階のラウンジバーにVIPルームを取っていた。マジックミラー越しに、ステージ上のショーを鑑賞できる特等席だ。

防音設備の整った個室は、外の喧騒を完全に遮断している。

最後にこの個室を利用したのは、久保湘子の誕生日を祝うためだったか……。

久保湘子のことを思うと、胸の奥が重苦しく疼く。

彼女は何も言わずに去っていった。俺の家を出て行って以来、電話一本寄越さない。フランスのデザインコンクールに参加しに行ったという話も、唐沢戦から聞かされたほどだ。

コンクールへの参加は、彼女にとって喜ばしいことなのだろう。

だが、その歓びを俺と分かち合おうとはしなかった。恐らく、...

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