第363章 好きと愛は違う

彼はワイングラスを軽く揺らすと、卓上のもう一つのグラスを藤崎隼人の前へ滑らせた。「一杯どうだ」

 藤崎隼人は眉を顰め、手を振って断る。飲む気分ではなかった。

 彼は薄く笑みを浮かべ、グラスを口元へ運んで赤ワインを一口味わう。「ボディーガードに何を取りに行かせたんだ?」

 藤崎隼人が口を開きかけた時、オフィスのドアがノックされた。

「入れ」

 短く応じると、先ほど車へ荷物を取りに行かせたボディーガードが入ってきた。

 男の手には書類袋がある。渡米前に篠原詩織の監視役へ命じて集めさせた、彼女の行動記録だ。

 会社を出る際、別のボディーガードから渡されたものだが、その時は目を通す暇がな...

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