第367章 芽生えた慈悲

黒沢西を車で執拗に轢き殺す。これは明白な殺人であり、極めて悪質な犯行だ。

だが、篠原詩織はただ黒沢西を殺しただけではない。大倉俊を唆して犯罪に手を染めさせてもいた。

もし大倉俊が自首すれば、篠原詩織は併合罪に問われることになる。

そう考えると、彼女は長く息を吐いた。

実のところ、もうどうでもよかった。殺人罪だけでも篠原詩織は死刑判決を免れない。どのみち、死ぬ運命なのだ。

長らく張り詰めていた糸がふっと緩み、彼女は伸びをすると、再び机に突っ伏した。

会議を終えて戻ってきた藤崎隼人は、彼女が目を閉じて机に伏せているのを見て、眠っているのだと思い、足音を潜...

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