第376章 渋谷さんはまだ私を覚えていた

葉月は彼女の膝を足場にしてその頭上を飛び越えると、背後から両腕を捻り上げ、そのままの勢いで地面に死に物狂いで押さえつけた。

彼女は片膝をついた状態で、両腕を葉月に背後で極められている。必死に身をよじって立ち上がろうとするが、葉月の力は想像を遥かに超えており、どうしても振りほどくことができない。

左伯一と橋本勝は昨日、藤崎邸に引っ越してきたばかりだ。二人の部屋は葉月や落合九美と同じ並びにあり、ちょうど隣同士だった。

庭で突然始まった乱闘に気づき、二人は玄関前の階段に立って、面白そうにその様子を眺めている。

「ボスはわざとやってるみたいだな」

橋本勝は「ああ」と頷く。「落合九美を警戒する...

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