第380章 彼女はすぐ隣に座っている

彼女は膝の力が抜け、男の手の力に引かれて、そのまま彼の膝の上に倒れ込んでしまった。

「貧血か?」

渋谷奕は、彼女の蒼白な顔をじっと見つめて問う。

会った時から顔色が悪いとは思っていたが、血の気が引いたように白い。

「少し、そうかもしれません」

数秒して我に返った彼女は、きまり悪そうに渋谷奕の腕の中から逃げ出した。平静を装って制服の袖を直すと、背を向けて歩行器を押してくる。

彼女は彼に向かい合って腰をかがめ、その腰に腕を回して身体を支え起こした。歩行器を掴ませ、脚で立つ訓練をさせるためだ。

渋谷奕は以前、藤崎隼人に連れられてよくボクシングジムでスパーリングをしていたため、腕の筋肉は...

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