第391章 ならず者

ドカン、という衝撃音。

コンロの上の鍋から炎が吹き上がる。火勢は強く、中の食材はすでに黒焦げだ。

渋谷奕は慌てふためき、車椅子を操作してシンクへ急ぐと、洗面器に水を汲んで油鍋にぶちまけようとした。

それを見た遠山知佳は、とっさに彼の手を制止する。そのまま鍋の蓋を掴むと、火柱の立つ鍋にガバリと被せた。

火はすぐに収まった。

彼女はガスの元栓を閉め、渋谷奕が持っていた洗面器を受け取って脇に置く。そして、呆れたように渋谷奕を見た。彼は今や灰まみれで、服も薄汚れている。

彼女はポケットからハンカチを取り出し、屈み込んで彼の手についた汚れを拭った。

「渋谷さん、もういいですから。出前を取り...

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