第403章 彼は立ち上がった

「あいつのことはもう考えるな。これからは距離を置け」

 藤崎隼人が、篠原瑤の揺れる心を鎮めるように言った。

 その時、視界の端でベッドの上の人物が動くのが見えた。彼が振り返ると、遠山知佳が渋谷奕の方へ頭を傾け、体を丸めているのが目に入った。そして、その手がそっと、渋谷奕の手の甲に重ねられる。

 渋谷奕はすぐに遠山知佳へ視線を走らせたが、彼女は目を覚ましていない。重ねられた小さな手が、無意識のうちに彼の手を握りしめる。

 それも、かなり強く。

 彼は小首をかしげて藤崎隼人を一瞥し、ぼそりと呟いた。

「ほら見ろ。こいつが俺に手を出してるんだぞ。俺からじゃない」

 藤崎隼人:……

「夕食...

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