第425章 あなたのお金は要らない

「暗証番号は……」

 庄司厳が言いかけた言葉を、遠山知佳は思わず遮った。

「待ってください」

 彼は小首を傾げ、続きを促すように彼女を見つめる。

「出会ったばかりで親しくもないのに、どうして大金を? 私から何を奪うつもりですか」

 そう口にしながらも、彼女の心許なさは消えない。

 今の彼女には何もない。残されているのは、この病魔に蝕まれた身体だけだ。

 初めて庄司厳と会った時、彼は確かに彼女に対して興味を示していた。そうでなければ、一億を超える高級車を惜しげもなく乗り捨て、彼女だけを連れ去ろうとはしなかったはずだ。

 庄司厳は僅かな沈黙の後、口を開いた。

「お前が欲しい」

「身...

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