第435章 あなたを許す

そこで彼は、はっきりと自覚した。久保湘子はもはや過去の存在だが、互いに想い合った時期があり、自分にとって大切な人間だったことは間違いない。

そう思うと、胸の奥に微かな憐憫が兆した。

「部屋まで送る」

彼は遠山知佳を軽々と担ぎ上げた。彼女は大人しくその肩に凭れかかり、されるがままになっている。

部屋に遠山知佳を寝かせ、勝手に出歩かないよう言い含めると、彼は急いで階下へ戻った。

玄関へ行くと、小山春江が頭を抱えて地面に蹲り、荒い息を吐いていた。服は泥だらけになっている。遠山聖也がまだ容赦なく彼女を蹴り上げていた。

彼は歩み寄り、遠山聖也を制止した。

「やめろ」

「こいつが妹を罵りや...

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