第5章

「吸い尽くしてやる?」

 私は目を見開き、怯えた妻を演じた。

「どういう意味なの、翔太?」

 翔太は慌てて取り繕った。必死に看護師を呼び止め、叫び続ける葵を車いすで連れて行かせる。

「麻酔のせいで幻覚を見てるんだ」

 彼はしどろもどろになり、額の冷や汗を拭った。

 それから、私を上から下まで値踏みするように目を細める。

「でも桜子……なんでそんなに元気そうなんだ?」

 私はこめかみを押さえてため息をついた。

「本当は、総合的な健康診断を受けに来たの」

「目が覚めてから、ずっと力が抜けたみたいで」私は滑らかに嘘を重ねた。髪の束を厚めに持ち上げ、根元を見せる。

 もともとの...

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