第8章

 理沙は土の上にひざまずき、飢えた獣みたいにイチゴを口へねじ込んでいた。

 涙が頬の汚れを切り裂くように筋を作る。

「私、バカだった……」果物を喉に詰まらせながら、嗚咽まじりに言った。

「あなたからあの人を奪うべきじゃなかった……」

 彼女は盗んだセーターの袖をまくり上げた。痩せ細った腕には、無数の痣と注射針の痕が散っている。

「真紀子に毎日殴られるの……」理沙は怯えきった目を見開き、か細い声で訴えた。

「翔太の鎮痛剤を買うためだけに、血を売らされるのよ!」

 私はその告白を、同情ゼロで聞いていた。

 屋台のカウンター越しに手を伸ばし、試食用の果物を切る鋭いナイフを取ると、彼...

ログインして続きを読む