第5章
カエルムの琥珀金の縦瞳が、怒りに反応して一瞬で細い糸へと縮む。広間に揺れていた炎はふっと力を失い、実体を伴った黒い影が、大理石の床を巨蟒のように這って一気に広がった。
「——っ!」
見えない恐怖の威圧が鉄槌のごとく落ち、衛兵の手先であるドリスタンの身体を容赦なく吹き飛ばす。背後の石柱へ叩きつけられ、砕けるような衝撃音が響いた。苦痛を噛み殺したうめきと同時に、蛇族の絶対的な力に押し潰される骨が、悲鳴のような乾いた音を立てる。
カエルムは濃い色の外套の陰へ私をすっぽりと庇い込み、剣の柄に大きな手を据えたまま動かない。見下ろす先にいるのは、地べたに転がる二匹の吐き気を催す爬虫類。その声...
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