第7章

「取るに足らない代償だ」

 ドリスタンが鼻で嗤い、見下ろしてくる。猩紅の瞳には吐き気を催す狂気が渦巻き、罪悪感など欠片もないまま――帝国を奈落へ突き落とす答えを吐き捨てた。

「竜族防衛線の外縁、その一部の領土を……上にいる価値もない平民ごと、悪魔にくれてやっただけだ。アビスは繁殖のための焦土を欲しがっている。俺は――奴らの刃を借りたい、それだけだ」

 全身が冷え切る。地獄の火の中にいながら、氷の底へ沈むようだった。

「……正気じゃない。古今、竜族の王で帝国の土地と民をアビスに差し出した者なんていない!」

「王座を取り戻せるなら、下賤な平民が何人死のうが知ったことか」

 ドリスタン...

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