第5章

翌日の授業中、私はまったく集中できなかった。昨夜の決断のことで頭がいっぱいだったからだ。

授業終了のチャイムが鳴った瞬間、私はほとんど全力疾走で例の教室へ向かった。生徒たちの質問に答える時間さえ惜しんで、急いで荷物をまとめ、まっすぐにあの机へと駆け寄った。

心臓がドラムのように激しく打っていた。昨夜、私はわざと間違った住所を教え、健太が十七歳の私を見つけられないようにした。この重要な介入は、果たしてうまくいったのだろうか?

机の表面をびっしりと埋め尽くす筆跡に、私は思わず息を呑んだ。

「魔法使い……。一晩中探したけど、ななは見つからなかった」

その文字をなぞる私の手は震...

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