第8章

三日間、机を見ていなかった。

健太の「少し距離を置いてやれ」という言葉を思い出すたびに、胸に石を乗せられたような気分だった。彼を突き放すことには成功したけれど、その勝利はあまりにも悲しすぎる。

今日は音楽祭の前日。私は疲れ切った体を引きずって教室へと向かった。もう、こんなことは全部やめてしまった方がいいのかもしれない……。

だめ、諦めるわけにはいかない。彼を救うためには、最後までやり遂げなきゃ。

私は機械的にあの机へと歩み寄り、無感情に天板を見つめた。

「魔法使い、明日はいよいよ音楽祭だね。沙織と二人で練習した『桜坂』、すごくうまくいってるんだ」

私は固まった。沙織...

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