第8章
三日間、机を見ていなかった。
健太の「少し距離を置いてやれ」という言葉を思い出すたびに、胸に石を乗せられたような気分だった。彼を突き放すことには成功したけれど、その勝利はあまりにも悲しすぎる。
今日は音楽祭の前日。私は疲れ切った体を引きずって教室へと向かった。もう、こんなことは全部やめてしまった方がいいのかもしれない……。
だめ、諦めるわけにはいかない。彼を救うためには、最後までやり遂げなきゃ。
私は機械的にあの机へと歩み寄り、無感情に天板を見つめた。
「魔法使い、明日はいよいよ音楽祭だね。沙織と二人で練習した『桜坂』、すごくうまくいってるんだ」
私は固まった。沙織...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
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