第7章

静かな午後を切り裂くように、携帯が鳴った。物流レポートを整理していると、見知らぬ番号が画面に表示され、胸騒ぎがした。

「森川明花さんですか？」電話の向こうの女性は、切羽詰まった声だった。

「はい、そうです」

「ご主人の森川隼人さんが取引先の建設現場で事故に遭われました。南浜総合病院の救急救命室にいます。今すぐ来てください」

携帯が手から滑り落ち、床にガチャンと音を立てて転がった。頭の中であの言葉が響き渡るのを除いて、何もかもが霞んでいった――隼人が、怪我をした。

どうやってオフィスを出たのか、よく覚えていない。ただ走っていた。心臓が肋骨を叩きつけるように激しく鼓動してい...