第8章

隠れ家の暖炉で、炎がぱちぱちと静かにはぜ、部屋に暖かい影を落としていた。

私は革張りのソファに身を丸め、ようやく息をつくことができた。この悪夢が始まって以来、初めてのことだった。私たちは逃げもせず、計画も立てず、戦いもしない。ただ……ここにいる。二人きりで。

キッチンから和也が現れた。二つの酒グラスを手に、いつものスーツではなく、ダークジーンズに黒のセーターという出で立ちだ。ラフな格好は彼の危険な印象を和らげるはずなのに、どういうわけか効果は真逆だった。その方が、彼はずっと生身の人間らしく見えた。もっと、私のものだと感じられた。

「見すぎだ」と、彼は私の隣に腰を下ろしながら言った...

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