第5章

高木覚はしばらくドアを凝視していたが、不意にこちらを振り向いた。

「三村、お前変わったな」

「そう?」

私はソファに座り直す。

「あなたがこれまで、私がどんな人間か見てなかっただけじゃない?」

「白々しいんだよ」

彼は歩み寄り、私を見下ろす。

「以前のお前はこんなじゃなかった。もっと従順だった。俺の言うことは何でも聞いた。それが今はどうだ? 弁護士だの引っ越しだの携帯変えるだの、挙句に外で男を作って——」

「黙りなさい」

私は立ち上がり、彼の目を真っ直ぐに見据えた。

「あなたにそんなこと言う資格はないわ。自分が浮気してた時、私のこと考えた? キャンピングカーであの...

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