第6章

それに比べて、宮下はずっと弁えていた。

私たちが会うのは夜だけ。場所は大抵居酒屋で、たまに私の家へ行くこともある。彼は私に何かを要求したりはしない。二人で尽きない話題に花を咲かせ、気づけば朝になっていることもあった。

一ヶ月後の夜。宮下と夕食を共にしていると、突然スマホが鳴った。

知らない番号だ。

「三村さんですか?」

若い男の声だった。

「高木覚の友人の者です」

「ええ」

私はステーキを切り分けながら応じた。

「何か用?」

「実はその……覚くんが、今、病院にいるんです」

「病院?」

私は片眉を上げた。

「どうして?」

「足の骨を……折られまして」

...

ログインして続きを読む