第10章 真犯人

秘書はほどなくして入ってきた。机の前に恭しく立ち、頭を垂れる。

「西野社長、お呼びでしょうか」

「三年前の親子鑑定――あれはお前が自分で手配したんだな」

「はい。検体は当時、若林さんから直接お預かりしました。私がそのまま弊社の検査センターへ持ち込み、全工程を極秘で進めております。第三者が介入する余地はありません。結果に誤りはないかと」

「もう一度やれ」

 西野直人の声は低く、硬かった。

「子どもと俺の検体を、お前が自分で採れ。別の専門機関を二つ使って、至急で回せ。結果は直接俺に持ってこい。誰にも漏らすな。山川心菜にもだ。少しでも洩れたら――どうなるか、分かってるな」

 秘書は息...

ログインして続きを読む